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Seeking diversity in the ocean.

海の多様性を求めて。

 日本人は古来から海と深く関わり、特に食文化では出汁や乾物、寿司などをはじめ深い関わりを持ってきました。食生活が変わりつつある今でも、身近な存在として日常的に食卓に上がります。また、海水浴が親しまれる以前から入浴文化の一環として心身ともに海に癒されてきたとも言われています。

 三浦半島の西側に接する相模湾は黒潮と親潮が出会う海流、湾として日本で2番目を誇る深度、北米プレートとフィリピン海プレートの境界に存在する特殊な地形、磯が形作る多種多様な環境、これらが相互に影響しあって世界にも誇れる生物多様性を持ち、長い間私たちに海の恵みをもたらしてくれました。

 しかし私たちは今、あまりに身近過ぎて当たり前になっている海からの恵みを失いかけています。そしてその事実にしっかりと向き合わなければいけないほど、危機的な状況にあることに気付き始めました。

 海水温の上昇により南方の海洋生物が北上し、草食魚やウニ類が爆発的に増加したこと、海水温上昇に耐えられず枯れてしまうこと、また海水の栄養不足による生育不良、などにより海の森「藻場(もば)」は壊滅的な被害を受けました。「磯焼け」と呼ばれる海の砂漠化が進行し、藻場を産卵床やすみかにしている魚や貝、イカが激減し生態系に急速な変化をもたらしています。

 また、海藻は温暖化の原因となる二酸化炭素の固定においてもブルーカーボンとして重要な要素を担っていますが、消失速度は早まるばかりです。

 これら海の変化にいち早く気付き取り組みを始めているのが、地域の漁業者と研究者です。食害から藻場を守り、海藻の芽の設置や食害にあいにくい希少な海藻の研究などにより藻場育成へ挑戦しています。一般的にはあまり知られていませんが、年単位で失敗や成功を繰り返し諦めず強い精神力を持ち最前線で磯焼け対策に取り組んでいます。

 急激な生態系の変化という非常事態に対して、私たちひとりひとりが行動に移すことが求められています。

海を覗くと見えてくる生き物たち。 *カーソルを合わせるとコメントが表示されます(Chrome推奨)

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